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「ペットって、何を飼ってるんですかっ?」
「遊里、聞くな。」
呆れ気味な海斗の声を無視し、穴井さんに期待の目を向ける。
すると穴井さんは爽やかな笑顔のまま口を開いた。
「オスの、人間です。」
「……」
「だから聞くなと言ったのに…」
固まる私をソファーに座らせ、海斗が立ったまま頭を抱えた。
私に向かっている穴井さんの瞳はやけに嬉しそうだ。
人間…ペット…オス…
頭の中でぐるぐると単語が回る。
そっ、そっか。
分かったぞ。
穴井さんて、海斗に似てるからお似合いだと思ったんだ!
ちょっとタイプは違うけど、二人には共通点があるから!
「ドS…」
呟いてぐったりとソファーに横たわる。
「やですね、ドSだなんて。私はペットの一番可愛い泣き顔を引き出すのが好きなだけなのに。」
「…それを世間ではドSと言う。」
海斗が冷静に突っ込んでいるが、海斗も同類だと自覚してるんだろうか…。
軽く目眩を覚えふと目を閉じた瞬間、ある事を思い出した。
「じゃあ、安田さんと食事に行った時に暗がりで海斗と話してたのも、穴井さんだったんですね。」
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