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「…別に責めてるわけじゃない。シーツが乱れていたのは、あの部屋にはホテル従業員すら立ち入り禁止だったからだ。シーツを直してすらもらえないホテル生活など初めてだった。」
忌々しそうに言って、海斗が私の背中をポンポンと叩く。
そっか…それなのに私、勝手に誤解してひどい事を…。
唇を噛み海斗の背中に回した手に力をこめた。
「…浮気をされたと思って首を絞めたなら…俺も絞められ甲斐があったな。」
「え?」
「首を絞めた時の力の強さが、お前の俺への愛情の強さだろう。」
言ってから、海斗が少しだけ体を離す。
そして片手でネクタイを外しワイシャツの前を開けた。
「あっ…!」
その首に残る、私の手の跡。
決してくっきりとしたものではないが、うっすらと痣になっている。
「ご、ごめんなさいっこんな…」
見た瞬間に血の気が引き、震える手で海斗の首筋をさすった。
「…謝るな。俺を愛しているなら、謝らなくて良い。」
海斗の長い指が私の手を止める。
「お前の愛で殺されるなら、構わない。」
熱い瞳が妖艶な光りを持って私を見据えた。
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