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「遊里…お前に会いたかった。顔を見て、触れて、お前を確かめたかった。」
耳に吹き込まれた囁きに胸が震える。
「何より、お前の笑顔が恋しかった。」
「海斗…」
海斗の強い想いが、言葉から、そして繋がった部分から伝わってきた。
私も同じ想いだったよと伝えたいのに…言葉にすると泣いてしまいそうで口を開けない。
「…二度と言うな。」
「え…?」
「別れるなどと、二度と…言わないでくれ。」
「っ…!」
切ない囁きに私の唇が震えた。
勘違いだったとはいえ、浮気を疑って…更には離婚するなどと言ってしまった。
傷ついていないはずがないのだ。
それなのに、それでも海斗は私を怒らない。
私の迷いも弱さもワガママも…優しくて強い心で受け取めてくれる。
私は海斗の背中に回す腕に力をこめ、潤んだ瞳のまま素直な笑顔を向けた。
「ごめんなさい…もう二度と言わない。…年老いて死ぬ時も、私達きっと二人一緒だね。…いつまでも、愛しあったままで。」
海斗が切なそうに微笑む。
「…その笑顔が見たかった。俺を愛していると溢れんばかりに伝えてくる、その笑顔が…」
私達は深いキスを交わし、お互いが溶け合うまでその熱を確かめ合った。
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