嫉妬と不安感

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さっきの光景があってか未羽は半歩下がって歩いていた。 聞こえてくる、声。 『ねぇあの人カッコ良くない??』 『カッコいいねー。後ろに彼女いるよ?』 『ホントに彼女ー?全然似合わなーい』 キャハハ…と笑う彼女たちが怖くなって下を向いて鞄を握りしめた。 (だから…一人で行きたかったのに…!) そしてくちびるを噛みしめ一歩も動けずにいると… 「…未羽。」 由希が手を引っ張り黙ってキスのふりをした。 「由希…わざと?」 「吸血鬼だから無意識に血が欲しくなって。」 そう、あまりに強く噛みすぎたせいで少し血が出ていたのだ。 「あ…」 触るとほんの少し痛かった。 未羽が気をとられてる間に由希は彼女らをにらんだ。 そしてそそくさと逃げるように去っていったのだった。 「…隣にいろよ。他人には言わせておけばいいんだ。」 (…由希はよくてもあたしが気にするよ…) 感情に流されて言ってはいけないことを言ってしまった。 「…彩月と由希なら言われなかったのかな…。」 「未羽…?」 「…なんでもない。商品無くなっちゃう。」 そのまま由希の横を通りすぎて未羽は歩いたのだった。
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