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その時の俺は身体中に傷があった。打撲したような痕もあった。
何かで焼いたような痕もある。
ずっと、数年前から生傷が絶える事はなかった。
そんな俺の周りや知り合いの人達が俺を見る目は凄く冷たく、可哀想だと訴えてるかのような目で見てきた。
………ー不愉快。
そう、一言で言えば凄く不愉快だった。
そんな奴らの目が不愉快でたまらなく、人が居れば避けて誰も居ない道を選んだ事もある。
だから俺の姿を見た彼が普通の表情をする事が、正直意外だったのだ。
一部は理由を知ってる人達も居たけど、何故かその人達でさえ俺に手を差しのべてくれなかった。
その時はまだ一人っ子だった俺は、親だけでなく周りからも見放されたと、いらない子なのだと、小さい頭ながら考え理解した。
いゃ理解せざるをえなかった。
だって、母さんをこんな風にしてしまったのは俺だったからー……。
でも彼は違うんだ。
俺が必要だと言ってくれた。正確には俺の体だったけれど、それでも嬉しかった。
誰かに必要とされてる事が、当時の俺にとっては嬉しかった。
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