~起動の章・壱~

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その時の俺は身体中に傷があった。打撲したような痕もあった。 何かで焼いたような痕もある。 ずっと、数年前から生傷が絶える事はなかった。 そんな俺の周りや知り合いの人達が俺を見る目は凄く冷たく、可哀想だと訴えてるかのような目で見てきた。 ………ー不愉快。 そう、一言で言えば凄く不愉快だった。 そんな奴らの目が不愉快でたまらなく、人が居れば避けて誰も居ない道を選んだ事もある。 だから俺の姿を見た彼が普通の表情をする事が、正直意外だったのだ。 一部は理由を知ってる人達も居たけど、何故かその人達でさえ俺に手を差しのべてくれなかった。 その時はまだ一人っ子だった俺は、親だけでなく周りからも見放されたと、いらない子なのだと、小さい頭ながら考え理解した。 いゃ理解せざるをえなかった。 だって、母さんをこんな風にしてしまったのは俺だったからー……。 でも彼は違うんだ。 俺が必要だと言ってくれた。正確には俺の体だったけれど、それでも嬉しかった。 誰かに必要とされてる事が、当時の俺にとっては嬉しかった。
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