50人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「お兄ちゃんこれあげる!」
声の主に振り向けば、こちらを見上げる二つの黒いぱっちり目が俺を捕えていた。
肩までかかった黒髪に、鼻の上にはバンソウコウ。
足や腕には擦り傷が所々についている。
そして制服は砂まみれだった。
目の前の少女、安堂 美紗音(アンドウミサネ)こと俺の妹は、めいっぱいの笑顔で砂まみれの服を俺に差し出す。
何時の間に帰ってきたのだろうと思いながらも嫌々ながら服を受け取った。
「お前また服を汚してきたな。それに毎日毎日擦り傷も作って帰ってくるなょ。」
やんちゃな小学生の妹は毎日外で遊び回っては汚れて帰ってくる。
ため息をついた俺をよそに、少女は満点をつけれる程の笑顔を振り撒きながら自分の部屋へ戻っていった。
最初のコメントを投稿しよう!