~起動の章・壱~

2/15
50人が本棚に入れています
本棚に追加
/65ページ
「なぁ柚樹、お前はどう思う……?」 見上げる視界には雲1つない蒼い空が広がってる。 学校のチャイムの鐘が聴こえたが、まぁ特には気にしない。 『俺様に聞かれたって分かんねぇょ。てかお前、チャイム鳴ったぞ。ま~た妹の為に授業サボんのか?』 「なんだょ妹の為って。確かにサボってるけど、あくまで人形の事を今話してんだろ~。」 ここ最近、学校内に居る恭介がサボる場所は決まってた。のんびり出来て先生達に見付かんなくて、人目につかない所。 今俺達が居る場所は屋上だった。かなり暑いけど、柚樹とも声を出して話せるのはここだけだ。 『シスコンのお前を俺から見たら、嫌でも人形=妹になるだろ普通?』 「ならねぇょ!」 話の内容はアレだ。数日前、妹の美紗音が持って帰ってきた人形だった。 美紗音は知らないはずなのに、柚樹が俺の中に居る事を当てた。 当の美沙音は人形に教えてもらったと言うし、ここ2・3日で妹が人形と喋ってるようなやりとりをしてるのも聴いた。 全部美紗音の独り言だったけれど。
/65ページ

最初のコメントを投稿しよう!