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『……は?』
何かを思い出したかのように手をポンとたたく俺を、柚樹は何事かと聞き返す。
今はウジウジ泣いてた木村とは別れて、学校の帰り道だ。
もちろん自転車。
だから声出して話しても気にしない。
「思い出したんだけどさぁ、聞いていい?」
『ヤダ。』
「ホント即答だね柚樹は。別に良いじゃん。」
『お前が俺になんか聞くとか、ロクな事ねぇもん。』
そうかそうか。
まぁ気にしてないから良いけどね。
「柚樹と会った頃さぁ、なんで俺が虐待されてるって分かったの?」
『………。
ほらな、ロクな話じゃねぇ。』
「じゃぁその間はなに……?」
『なんでもねぇょアホ。』
「嘘だ絶対なんか隠してるだろ!?言え!吐いちまえ!!」
その後の問い詰めにも柚樹は黙りこんで答えてくれる事はなく、俺はその事にふてくされながら帰路についた。
ただ、「ケチだね」と言った時だけ柚樹は素直に反応してくれた。
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