~起動の章・壱~

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  『……は?』 何かを思い出したかのように手をポンとたたく俺を、柚樹は何事かと聞き返す。 今はウジウジ泣いてた木村とは別れて、学校の帰り道だ。 もちろん自転車。 だから声出して話しても気にしない。 「思い出したんだけどさぁ、聞いていい?」 『ヤダ。』 「ホント即答だね柚樹は。別に良いじゃん。」 『お前が俺になんか聞くとか、ロクな事ねぇもん。』 そうかそうか。 まぁ気にしてないから良いけどね。 「柚樹と会った頃さぁ、なんで俺が虐待されてるって分かったの?」 『………。 ほらな、ロクな話じゃねぇ。』 「じゃぁその間はなに……?」 『なんでもねぇょアホ。』 「嘘だ絶対なんか隠してるだろ!?言え!吐いちまえ!!」 その後の問い詰めにも柚樹は黙りこんで答えてくれる事はなく、俺はその事にふてくされながら帰路についた。 ただ、「ケチだね」と言った時だけ柚樹は素直に反応してくれた。   
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