~起動の章・壱~

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  「ただいま~。」 ドアを開ける。 誰も居ない暗い部屋に、俺の声が小さく響いた。 部屋に明かりがない事から、美沙音はまだ帰ってきてないのだろうとわかる。 すると微かに笑い声が聴こえた。 ………ハレか? しかし姿をあらわさない為、違うと断定した。アイツなら俺の姿見たり声聴いた瞬間抱き憑いてくるからな……。 『いゃ~モテるね~。』 「うっさい。あんなのにモテたって嬉しかねぇょ。」 ハレとはこのマンションに住み着いた霊。 しょっちゅう俺に憑きまとってくるウザったい奴で、自称ハレにゃんと呼んでるお馬鹿さんだ。 最後に見たのは遅刻した時の学校の中だったから、アレから数日か。 そういゃ最近……姿見せてねぇなアイツ。 『ん?心配かょ??』 「いゃ、成仏したんだろうと思うと嬉しいんだょ。」 ぅんそうだ。 きっとこれは嬉しいんだ。嬉しいに違いない。 それにしても、なんかぽっかり穴が開いたような気がするのはなんでだろ………?  
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