~起動の章・壱~

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    いくら考えても答えが出てくる事はなかった。 また話を戻す。 ハレじゃないとすれば、一体誰だ?新手の霊魂? …………まさか泥棒!!? 『普通の人間ならまずは泥棒って思い付くだろなぁ。』 まぁ確かに………。 普通の人なら真っ先に泥棒と思い付くのだろう。でも自分で言うのもアレだが、あいにく俺は普通じゃない。 昔からだけど、こういうのは真っ先に霊だと思ってしまうんだ。 そんな俺の考えを、新たに聴こえた声で打ち消した。 「お父さ………お母………」 所々と切れていて聞き取りにくかったが、誰の声がはっきり分かった。 この声はー……… 『あのガキか?』 「ぅん、美紗音の声だ。でも……」 なんで明かりをつけてないんだ? ゆっくりと妹の部屋に近付くたびに美紗音の声が聴こえる。ドアが少し開いてるのが分かったが、部屋の明かりはついていなかった。 『明かりつけないでブツブツ独り言言って、何やってんだょあのガキ。』 「多分………人形と会話……?」 今の美紗音にとって、独り言とは人形と会話をしてる……。最近俺は、美沙音の事をそんな風にとらえていた。  
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