~起動の章・壱~

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  ドアに近付き部屋の中を覗いく。 先に言っとくが変な意味で覗く訳じゃない。こんな暗い中、何してるのか気になるだけだ。 『変態覗き野郎って今言おうと思ったのに先越されたぁ……!』 ショックの声を出す柚樹に、俺はざまーみろと小さく呟く。 部屋の中ではいまだに「ほんとうなの?」とか、「そんな………有り得ないよ。」とか、意味不明な会話文などの声は聴こえてきていて、美紗音が俺に気付いてる様子はなかった。 まず妹の部屋には窓がない。 窓から落ちると危ないと思い、あえて窓がない部屋を妹に与えた。 だから窓がない壁に囲まれた部屋は真っ暗で何も見えず、声だけが響いている。 『……何が有り得ないんだろな?』 「ん?さぁ…?」 柚樹はまたケラケラ笑ってる。まぁ柚樹が笑うのはいつもの事なので、とりあえず部屋のスイッチに手を伸ばし付けた。 その時聞いてしまった。 なんで。 なんで、お前…… 「そんなの絶対の絶対の絶対有り得ないよ。お兄ちゃんが……殺した…なんて……………」 「…………っ!」 明かりをつけた俺は美紗音を見た。はっと顔を上げて、美紗音も俺を見た。 少しの間、沈黙が流れた。  
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