~起動の章・壱~

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  『……。』 「………美紗音?今…なんて?」 なんて……言った?俺が……なんだって? 頭が真っ白になって言葉が出てこない。柚樹も珍しく同じだった。 なんだか足元がフラついてくる。段々、崩れてく。 コワレル……コワサレル 「……ぁ、あのお兄ちゃん、お帰りなさぃ………。」 何事もなかったかのように……とまではいかないけれど、少し引きつった笑顔で美紗音は答えた。その引きつった笑顔の中に、俺に対して恐怖の色が伺える。俺は今、そんなに酷く怖い顔をしてるのだろうか…? だがそんな事は、今の俺にはどうでもよかった。真っ白の頭の中が少しずつ働き始める。 そう。俺の聞きたいのは「お帰りなさい」って言葉じゃない。いや、聞きたくない訳じゃないけど今はいい。 『……こんな時でもシスコン発揮かよ』 「………。」 違う違う。俺が今聞きたいのは、俺が“誰を殺した”と言うのか。それと“誰にそんな事を聞いたのか”というこの2つ。 俺がもし、今の事を何も聞かなかった事にして目を反らせば、美紗音は何も答えないだろうし喋らないだろう。 でもそれじゃ駄目だ。今聞かないと、手遅れになってしまう。そんな気がしてならない。 だから、勇気を出して、ちゃんと声出して聞いた。 なるべる優しく、冷静に。      
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