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危険な人形。
今俺のカバンの中には、あの人形が入ってる。もちろん美沙音には秘密で持ち出してきた。こんな、俺にとって危険な人形はいち早く始末しなければならないからだ。
『あ~ぁ、それ捨てたらお前の妹泣きわめくだろうなぁ~?しまいには妹に嫌われちゃったりして?そうなったらお前のこの世の終わりだな!』
「……黙っててって、言ったよね?」
全く。俺がこんなに悩んでるってのに柚樹のバカ野郎。
『あれれ?これはただの、俺様の独り言だよ!プププ笑える!』
「笑うなっつの」
つか、俺は笑えねぇ。柚樹が今言った事は十分有り得る話だし。泣きわめくだけならまだ大丈夫だけど、嫌われたら嫌だな………。
でもこのまま危険な人形を、美紗音の元に置いとくのは危険過ぎるし。だからこれくらいのリスクは背負わなきゃいけない。
そもそも俺は、最初から危険な人形ってのはなんとなく分かってたんだ。でも見逃してきた。その結果がこれだ。
今動かないといけない。また見逃せば、今度は取り返しの着かない所まで堕ちてしまう気がするから。
未だに笑ってる柚樹はほっといて、自転車の籠にカバンを入れる。
「……さて、とりあえず人目につかない場所を探すか。」
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