~起動の章・弐~

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  危険な人形。 今俺のカバンの中には、あの人形が入ってる。もちろん美沙音には秘密で持ち出してきた。こんな、俺にとって危険な人形はいち早く始末しなければならないからだ。 『あ~ぁ、それ捨てたらお前の妹泣きわめくだろうなぁ~?しまいには妹に嫌われちゃったりして?そうなったらお前のこの世の終わりだな!』 「……黙っててって、言ったよね?」 全く。俺がこんなに悩んでるってのに柚樹のバカ野郎。 『あれれ?これはただの、俺様の独り言だよ!プププ笑える!』 「笑うなっつの」 つか、俺は笑えねぇ。柚樹が今言った事は十分有り得る話だし。泣きわめくだけならまだ大丈夫だけど、嫌われたら嫌だな………。 でもこのまま危険な人形を、美紗音の元に置いとくのは危険過ぎるし。だからこれくらいのリスクは背負わなきゃいけない。 そもそも俺は、最初から危険な人形ってのはなんとなく分かってたんだ。でも見逃してきた。その結果がこれだ。 今動かないといけない。また見逃せば、今度は取り返しの着かない所まで堕ちてしまう気がするから。 未だに笑ってる柚樹はほっといて、自転車の籠にカバンを入れる。 「……さて、とりあえず人目につかない場所を探すか。」    
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