~起動の章・弐~

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  あの時。 「なぁ美紗音。今のは一体、どういう事かな?」 あの時俺は、なるべく優しく、冷静に聞いた。そのつもりだった。つもりだったのに……… 「うっ…うぅぅ………」 『泣き出したぜオィ』 「……えぇ!?」 びっくりした俺に、美紗音はまたびっくりして余計泣いた。もう何がなんだか分からない。 「お兄ちゃ……違う…違うのっ…うぅぅ………ごめ…なさぃ………ヒック」 「……いや、いゃいゃえっと…………美紗音?泣かなくても良いんだよ??」 「うぅ…。ごめ…ごめんなさぃぃぃ……」 「……。」 さてどうしよう。 『ずっと前から思ってたんだけど、お前ってさ、妹の涙に弱いよな?』 「……。」 ……やっぱりどうしよう。 『なぁなぁお前ってさ、妹にベタベタのシスコンだもんな?』 「……。」 ……う~んどうしよう。 『お前ってさ、妹LOVEなバカ兄貴だもんな?』 「……。」 どうしよう……。 『お前ってさ、妹「だぁあぁもう!うるさいなぁ!!」』 「…っ……ぇう…?ぅぅうわーん!」 「あぁ違う!美紗音に言ったんじゃないんだょぅ!」 『バーカバーカ!プププ』 柚樹の野郎………。 もう泣きたいのはこっちだ。    
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