~起動の章・弐~

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「な・に・に使うんだ…?正直に話せよ?」 何て言おうか悩んでる俺に、赤月は笑顔で顔を近付けてくる。 だが笑顔がなんだか恐い。目が全然笑ってないじゃないか先生………。 「実は、これ燃やそうと思ってここに来たんです。」 正直に話す事にした俺は、カバンの中からあの人形を取り出した。金色の頭には赤いリボン。ヒラヒラの付いた青いドレスに白い靴を履いた人形を。 赤月はこの人形を見て、何故か顔を歪める。 俺はその表情が凄い気になった。 「この人形を…燃やす為に?捨てるだけでは駄目なのか?」 「ぅーん。これ実は呪いの人形なんですょ―。妹が拾ってきたんですけど気味悪くて……。この人形来てからは眠れないし、毎日ラップ音続くし、捨てても捨ててもいつの間にか戻ってくるんで、いっそ燃やそうかと。」 『うわー、嘘がベラベラとよー出てくるよなお前。俺様びっくり感激!』 …―何が感激だっつの。妹と会話するんですこの人形って本当の事言ったって、誰も信じないんだから仕方ないだろ―。 「だから先生!お願いしますっ!」 「………分かったょ。でも安堂。こい言うのはお寺などに預けた方が良いと思うんだけどね。」 そういう赤月は素直にライターを取り出し俺に渡してくれた。後は燃えやすいようにと、自分のカバンを漁って、いらない紙を何枚かくれた。     もちろん人形が燃え尽くすまで一緒に居るハメになったけどね。 そしてようやく俺は、焚火の用意を始めた。
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