プロローグ~全ての始まり~

3/7

0人が本棚に入れています
本棚に追加
/7ページ
「ウオオォォォ」   突然、一人のサラリーマンらしき男が、唸るようにして叫んだ。 男を中心に、段々と、まるで水面に広がる波紋のように沈黙が広がっていく。 いつしか、人混みの流れは動きを止め、誰もが、その不思議な光景に目を奪われていた。   男の皮膚は血のように赤く染まっていたのである。 暫(しばら)くの間、男は石膏像のように頭を抱えて動かなかった。   三分ほど経っただろうか、男の皮膚に皹(ひび)が入り始めた。 ついには、その割れ目の間から白い、蒸気のようなものが出始めた。
/7ページ

最初のコメントを投稿しよう!

0人が本棚に入れています
本棚に追加