帰り道

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次の日の放課後、美春は部室へと向かった。 手芸部の活動は服飾室で行っている。二階へ続く階段を過ぎた渡り廊下の奥にある白いドアを開けると一人の少女が裁縫道具を手にチマチマと小物を作っていた。 服飾室は四つの机をくっつけて一つのグループにしている。 服飾室の後ろには大きな棚が置かれ、授業で作られたものや部員たちの作品、ファッション誌がきっちりと整頓され並んでいる。 その棚の横にひっそりとサンタ服のワンピースを着た胴体だけのマネキンが立っている。 マネキンの衣装は季節のイベントごとに着せ替えされる。この前まで、はハロウィンの魔女服だった。 柚奈はそのマネキンとお揃いの服を着せた女の子のサンタ人形を作っていた。 美春の学校の手芸部では毎年、クリスマスの時期になると、リースやツリーの飾りのマスコットを作って、幼稚園や老人ホームにボランティアで贈ることになっている。 部員はすごく少ないのでリースは一人一個。マスコットは一人 最低三十個は作らなくてはならない。 それも来週は期末テストの期間に入るので、今週中に仕上げなくてはならなかった。
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