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美春はほとんど終えているので、ノルマは余裕で達成できる。
だが、柚奈はリースは出来たものの、マスコットの方がまだ半分も出来ていない。
限られた時間の中で一つでも多く作っておきたい柚奈は、授業が終わってすぐに部室に来て作業していた。
南窓から柔らかい陽が差し込み、部室と、窓際の机に座る柚奈を優しく照らす。
しかし、窓を開ければ晩秋の冷たい冷気が吹き込んでくるので窓は閉めたまま、ほど良い環境を保つ。
窓からはグランドが一望でき、静かな部室にはガラスの向こうから体育会系の部活動をしている部員たちの掛け声が聞こえてくる。
「ゆずちゃん」
美春が声をかけると、柚奈は作業を一旦止め、顔を上げる。首を傾げ、「なんですか?」と尋ねる。
「今日 一緒に帰らない?」
裕也とは校門のとこで柚奈と合わせる予定になっている。
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