宵越しの君に

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   俺は、彼女のことならなんでも知ってる。  誕生日も、血液型も、好きな色も好きな花も食べ物の好き嫌いだって、俺は知ってる。  彼女のことなら、なんだって知ってるのに……俺は彼女の笑う姿を知らない。   彼女の髪が、どれだけ艶やかなのかを知らない。     彼女の姿が美しいのか、醜いのかも知らない。    誰よりも近く何よりも遠いあの人に、俺はずっと心を囚われてる。  一つ宵を超えた先で、俺を待つ、たったひとりの女の子に。
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