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ナオは屈託無い笑顔のままで不機嫌なネヴァをようやくにして手離した。
「それで? またなんか言われたの? おチビちゃんとか子供とか胸が残念とか」
「言われてない」
細い眉を僅かにピクリとさせてネヴァは羽織っている支給品の薄っぺらいジャケットの襟を直した。
「じゃあロリババa」
調子づくナオを、人形のようにきりりと縁取られた、しかし鋭い瞳でギロリと睨むネヴァ。
「……殴るよ?」
目が怖い、とは陽気な笑顔が苦笑いに変わったナオの定説ではなく客観的かつ冷静な感想だった。
「もう、ヤだなー。冗談に決まってるじゃない」
胸の辺りで両手のひらを開いて見せて二、三歩後退するナオにネヴァは小さく舌打ちした。
今日は特別虫の居所がよろしくないらしい。
「あのねぇナオ。私がそういう冗談嫌いだってわかってて……だいたいアンタはね」
ネヴァのお小言が始まる気配を察したナオは、引き釣った苦笑いで両手を何度もつきだす。
「はーい、どうどう、落ち着いて、ネヴァお姉さま」
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