ネヴァ 不老の少女

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 その言動にネヴァが右の拳を固めたのをナオは見逃さなかった。  冗談で済むのもここまでだ。  これ以上はナオご自慢の写真映えする可愛い顔が、サンドバッグの末に台無しになる危険がある。  もしもここで、私女優なのよ顔はぶたないで、なんて小粋なジョークを飛ばした日には、鏡を見るのが億劫になる毎日が始まることだろう。  さすがにそれは勘弁してほしいナオは、素直にネヴァをなだめることにした。  「しょうがないよ、連中どうせ無能なんだから」  ネヴァが不機嫌な理由、それを理解していながら彼女をからかっていたナオ。  いつものことなので、ネヴァは諦めの溜め息で気持ちを逸らす。  どうせ、お説教の効果が期待できるようなお利口さんではない。  「あんたのコトは、まあいいわ……今回は現場の指揮官が最初から私の指示通り動いていればね」  ネヴァはまた溜め息をついて肩の力を抜くと、ナオに向けて固めたはずの拳をほどく。  そもそも今回はたった二匹を駆除すればそれで済む話だった。
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