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四本のマニピュレーターが付いた両腕は状況に応じて多彩な武装を装備、運用出来る上、射角の微調整に都合がよい。
両肩には補給物質や予備の弾薬の入ったコンテナだって乗る。
そして頭部の大型の丸いカメラアイは巨大な生き物の眼を思わせ、やはりリザードマンに対しての威嚇効果が期待できる。
しかもそれをたった一人の搭乗兵で運用できるのである。
これ程の兵器を高重心ゆえの安定性の悪さや操縦系統の複雑さから乗りこなせずに、女子供の玩具であるという烙印を押して戦力外扱いする軍の間抜けさに、ネヴァはいつだって呆れさせられる。
実際、MI-11Jの搭乗兵は女性と年端のいかぬ少年がほとんどだった。
理由のひとつとしては、いわゆるロボット兵器然とした外観にある。
正規兵の不足した軍部は徴兵もやったが、それだけでは人手が足らず志願兵を募りもした。
その際に作られたポスターに、青空をバックに雄々しくたたずむMI-11Jと搭乗兵の精悍な青年を使った。
頼もしい相棒の肩に乗り、その大きな頭に寄り掛かってサムズアップを決め、白い歯を見せる爽やかな若い搭乗兵という構図のポスター。
おまけに、なにやら歯の浮くような煽り文句が張り付いていた気もするが、その文言を引っくるめて、ひどくセンスが悪かったことしかネヴァの記憶に無いポスターだった。
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