ネヴァ 不老の少女

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 だがしかし、どういうわけか、そのポスターが夢見がちな少年達の羨望を集めたらしく、志願兵が増えた実績があったのだ。  もっとも、当の爽やかに親指を天に突き立てていた若い搭乗兵はというと、そのポスターが貼り出される頃には、すでに化物の胃袋の中に収まっていたのだが。  現実はそう綺麗にはいかない。  彼は作戦行動中にリザードマンと遭遇、交戦中にコクピットを守る分厚い鉄板を引き剥がされ、仲間達の見ている前で泣き叫びながら食われたと言う。  巨大な爪で青年の体を押さえ付けたリザードマンは、せっかくの御馳走を味わうように時間を掛けてその肉を食い千切った。  戦死が確定した若者を置いて撤退する友軍兵士達の耳に、彼の助けを乞う悲鳴がいつまでも聞こえていたという話だ。  その件は民間人には伏せられたが、軍の連中は内々で兵器の出来が悪いためだと言った。  だからろくに扱える者もなく、普遍性にも欠ける。  誰が使っても同じように成果を挙げられないものに兵器としての価値など無いと。
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