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さらには、複数の動作を同時に処理する能力は女性の方が男性よりも優れている、という説がある。
双方を兼ね備えているネヴァは、まさにMI-11Jの搭乗兵となるべくして存在しているようなものだろう。
そう考えてしまうネヴァの眉間に深いシワが浮き上がる。
「……冗談じゃない」
それでは、まるで兵器の部品だ。
冗談であったとしても愉快な話ではない。
無意識に威圧感のある沈黙を大きくしてゆくネヴァ。
隣でナオは引き釣った笑顔を崩せなくなっていた。
それはもう、タイミング的に。
なにせ、放って置いたら置いたでだんだん機嫌が悪くなるし、下手な事を言えば大事な顔がオシャカにされる。
結局、黙ってにこにこしているしかない。
「でもね、ちょーっとでもね、居住まいが悪いって言うかね、察して欲しいなー、なんて」
「ん……考え事してた」
耐えきれなくなってきたナオの、冷や汗だらけの笑顔をギロリと見やったネヴァの口調は、その口調だけは、ひどく落ち着いていた。
それはそれで返って怖い。
だらだらと冷や汗を流すナオは貼り付いた笑顔で二、三歩後退。
嫌な汗でシャツが透けやしないかと心配になる。
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