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それはもちろん、ネヴァの胸を触らせろ、という意味ではない。
真面目な話をしているときにふざけた口を叩くな、ということだ。
酒癖は悪いが、酔っていても根は職人。
そんな男だから命を任せられる。
が、しかしである。
だからと言って耳障りなものは耳障りだし、聞かずに済むものなら聞かずに済んだ方が良い。
我が身を思っての事とは言え、精神衛生上ガミガミ言われ続けるのはよろしくない。
良薬口に苦し、とはいうが、良薬でも苦いよりは甘い方がいい。
そうはいかないのが世の常ではあるが。
となれば、いかに早く苦い薬を切り上げさせるかという方向に持って行くしかないだろう。
だからネヴァは反論する。
「接近戦なら砲撃より直接ブン殴った方がいい場合が多いんだから、仕方ないよ。壊したくなければマニピュレータにナックルガードを付けてくれれば良いのに」
反省もせずに論点をすり替えようとするネヴァにシドは赤い顔を更に赤くした。
「ああ、そーか、そうだな! 分かった、良いだろう。ちょうどいい、お前の一号車にパンツァーファウストを付けてやる!」
くるりと踵を返し、肩を怒らせたままのしのしと歩いて行くシド。
ついてこい、というニュアンスである。
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