6人が本棚に入れています
本棚に追加
ネヴァは、いぶかしむように眉をひそめ、シドの背を追った。
「……鉄拳?」
「ゲンコツってこと?」
嵐が去ったと見たナオがその後に続く。
シドはガレージの隅に置かれた濃緑色のシートが被せられた大きな長方形の前で立ち止まると、一気に引き剥がした。
ネヴァが怪訝な顔で首を傾げる。
「骨董品のロケットランチャーには見えないけど?」
それは無骨な鉄の塊。
長さと幅はMI-11Jの前腕部とほぼ同等。
頑丈な骨組みの中に太い鋼鉄製の支柱のようなものが入っていて、その根元の辺りには大型の弾倉らしきもの。
ようやくその正体に気付いて、ネヴァは失笑してしまった。
「まさか杭打ち器とか言わないよね?」
振り返ったシドが睨む。
「馬鹿言うな! 打ち出し式の棍棒と呼べ!」
「棍棒ねえ?」
ネヴァはもう一度、怪訝な顔で首を傾げた。
パンツァーファウストとやらをよく見ると、中のシリンダーみたいな棒状の物の先端は丸みを帯びていて、確かに打ち抜く、装甲を貫通させるという用途には向いていないようだった。
「撃ち出した衝撃で殴り倒し、そのまま殴打できる。ま、頭蓋にブチ込みゃ奴等だって初撃で即死だろうがよ。どうだね、ネヴァ。お前さん好みだろうが」
最初のコメントを投稿しよう!