ネヴァ 不老の少女

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 シドはフンと笑って言葉を締めた。  ネヴァも小首をかしげ、鼻で笑って返す。  「まるで私が粗野で乱暴みたいな言いぐさだね」  「違うんだっけ?」  きょとんとしたナオが後ろからネヴァを見下ろして言った。  まったくもって、お利口さんとは縁遠い娘だ。  諦めたような苦笑を吐いたネヴァは、くるりと振り向いて。  「ナオ。あなた後で私の部屋に来て。これ、隊長命令だから」  例によって口調だけは穏やかだったが、その顔はもはや人ではなかったと、のちにナオは述懐する。  その述懐がネヴァの耳に入らなかったことは、ナオが整形手術を受けずに済んだという結果が証明することになるのだが。  そんな毎度飽きない二人のやりとりをやれやれと見守るシドだったが、ふと思い出したように口を開いた。  「そういやナンだ、新入りが来るんじゃなかったのか?」  シドの言葉が聞こえていないかのように、いつまでも見つめ合っていたネヴァとナオ――もっとも、ナオは蛇に睨まれた蛙、とでも言った方が適切である――だったが、しばらくして気が済んだのか、ようやくネヴァがシドに振り向いた。  「また戦死要員が来るとは聞いてたけど、今日だった?」  その表情は普段通りのポーカーフェイスに戻っていた。
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