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トラブルメーカー ルリカ
ネヴァは隊長室に戻った。
間もなくやってくるであろう新入りの挨拶を聞くために。
ついでに言えば、隊の中でのルールや上下関係や新入りの役割なんかも説明しなくてはならないが、どうせ自分より早死にする奴に教えたところで意味があるとは思えないので、そんなものは本当についでだった。
壁に掛けてある、黒猫の顔のシルエットの時計を見る。
まだ少し時間があった。
ネヴァはあまり片付いているとは言えない自分の机の引き出しから資料を引っ張り出すと、机の上を占拠する書きかけのレポートやら書き損じて放置の報告書、読みかけのページを下にして投げっぱなしの思想書やらを押し退けてスペースを作り座って資料をめくった。
「テングウ・ルリカ……19歳……経歴は……あーあ。ナオと一緒で飛ばされてきたみたい」
ちらりと顔をあげるネヴァ。
その視線の先にいるナオは腰に両手を当てた。
「失礼しちゃうなぁ。ワタシ、白兵戦車の適性を認められての転属ですぞ?」
頬を膨らませたナオに資料を渡すネヴァは冊子やプリント類の山をごそごそやり始めた。
「ん、それ上が大好きないつもの社交辞令。問題児だからそっちで引き取れ、なんてストレートに言われたコト今まで無いから間違いないよ。おめでとう、ナオにお仲間が増えるわ」
「えー……ウソだよ。現にこうして」
「思い込みの力に感謝するといいよ、ナオ」
ネヴァはナオが配属された時に渡された書類を引っ張り出して笑った。
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