トラブルメーカー ルリカ

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 三十分程して、その新入りはようやく現れた。  地味な濃緑色の制服をびしっと身につけたロングヘアの新入りは、二人の前で真っ直ぐ立つ。  「……テングウ・ルリカ伍長です。本日付けで配属になりました」  新入りは今一つ覇気の無い声で言って形ばかりの敬礼をした。  顔に掛かった前髪の奥から、生意気そうな目をした金髪の少女を見下ろして、それからその隣でニコニコしているショートヘアの少女に視線を移す。  「……上官は?」  ルリカはナオに聞いた。  「えっ……聞いてないの?」  ナオは視線を隣に移す。  ネヴァが無表情に腕を組み、挑戦的な態度でルリカを見上げた。  「ようこそ、最低最悪の戦車部隊、リトルウィッチへ。私はネヴァ、あなたの上官。で、これはナオミ。あなたの先任。階級は同じだし年下だけど、何かあったらこの子の指示に従って」  ルリカは、ナオを顎で指すネヴァへの不信感を込めて眉間にシワを寄せた。  「……あなたが? タチの悪い冗談やめて」  それは当然の反応だろう。  何せネヴァは、一見して生意気な小学生にしか見えないのだから。
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