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ルリカにしてみれば、何故かこんな所に紛れ込んだ子供が、自分をからかっているようにしか思えないだろう。
ネヴァは鼻で笑って目を閉じた。
「新入りはみんなそう言うね。でも私はあなたより年齢も階級も上。実戦経験もね」
「どういう意味?」
ルリカは呆れたように首を傾げた。
「子供の冗談に付き合ってる暇はないんだけど?」
それを受けて、眉間にシワを寄せたネヴァの目が細くなる。
「口の利き方には気を付けたがイイよ」
ルリカは冷ややかにその目を見返した。
「あなたこそ……あまり人のコトをからかうものじゃないわ」
静かな室内に、黒猫を象った壁掛け時計の秒針が動く音だけが響く。
そんなぴりぴりと空気の張りつめた状況下、ナオは笑顔をお面みたいに貼り付けて、音を立てぬよう、ゆっくりと両者を見比べてから、静かに一歩、そして二歩、摺り足で後退をしはじめた。
危険が危ない雰囲気だ、とばっちりはごめんなさいだ、私はゼンイのダイサンシャだ……なんて事を頭の中で呪文のように繰り返しながら。
するとルリカを見上げるネヴァの手が素早くナオの手首を掴む。
引いたばかりの冷や汗がシャツをナオの身体に貼り付かせた。
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