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不思議に思いながらコクピット内装を覗き込んだルリカはその直後に顔をしかめることになった。
なにやら生臭い。
「……これ……」
真新しいシート。その周囲あちこちに茶褐色の何かが所々こびりついている。
「前任者の置き土産。クリーニングしてる暇は無くて拭き取りはしたんだけど」
ネヴァは目を細め、嫌みったらしい笑顔でそう言った。
ルリカは眉根にシワを寄せネヴァを見る。
「あなた……自分で性格悪いと思わない?」
ネヴァは全然全く、これっぽっちもと首を振った。
「思ってたら黙ってるよ、私。どうせまたすぐ汚れるし。綺麗にする手間が無駄だわね」
「……私は死なない」
「さて、どうかしらね? 私が見てきた限り、あなたみたいなタイプが長生きした試しがないんだけど。命令無視して突っ込んで、あとは囲まれてお疲れ様。そうなったら援護のしようがないでしょうに」
「近接戦闘の為の人型じゃないの?」
「白兵戦車なんて名前負けしてるんだよ。化物連中からしたら、接近してしまえばしめたものね。あとは固い殻をこじ開ければ御馳走にありつけるんだから。蟹ミソみたいなものよ、私達なんて」
険しい表情のルリカはコクピットから離れた。
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