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それから、薄ら笑いするネヴァに詰め寄った。
「じゃあ、なんの為の……」
ネヴァはやれやれと肩をすくめる。
「ここは役立たずが最後に来る場所。敵の囮、もしくは先陣切って喰われるのが仕事の白兵戦車。言ったでしょ、最低最悪の隊だって」
ルリカは唇を噛んで黙った。
何か、込み上げてくる感情を堪えるように。
「ま、気持ちはわからなくないよ。誰だって死にたくはないからね」
「違う!」
突然ルリカが声を張り上げたのでネヴァと、横で黙って様子を見ていたナオは驚いた様子で彼女を見た。
「ネヴァ……私は死ぬのは怖くない。だけど殺される為に軍に志願した訳ではないの」
ネヴァは、そんなこと、と呆れたような溜め息でもってルリカを見やった。
「殺されようと思って死ににいく奴なんていないよ」
ルリカは少し冷静になったのか溜め息をやり返した。
「でしょうね。でも私は死なない、死ねないの。父と母の仇を討つまでは」
「そんな幻想、捨てたら? 相手は爬虫類、仇討ちなんて意味ないよ。連中にそんな感覚は無いものね」
冷ややかに返すネヴァをルリカはキッと険しい目で睨んだ。
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