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「クソッタレ!!」
兵士達は巨大トカゲにカービン銃を乱射する。
食われた仲間に当たる、という考えは、奴の口から覗く同僚の脚が動かなくなった時点で消え失せている。
そもそも助かるハズがない。
そう信じなければ次の瞬間には自分が食われる。
巨大トカゲは頭を振り、食いちぎった両足を吐き捨てると、銃弾に怯むことなく兵士達に襲いかかった。
口から滴る鮮血を長い舌で舐め取り、次の獲物の頭にかぶりつく。
二番目の犠牲者は動けなかった。
素早く動く化け物の動きを目で追いはしたものの、赤黒い新鮮な血を滴らせて飛びかかる巨大な影、そいつの血塗れで真っ赤な口の中に見えるノコギリのような鋭利な歯を見てしまった瞬間、恐怖で身体が硬直してしまったのだ。
悲鳴は、上半身ごと巨大トカゲの胃袋の中に飲み込まれた。
「畜生、ブチ殺せ!!」
戦車の砲塔が、ようやく化け物を捉えて火を吹いた。
至近距離。
砲身が吐き出した鋭く尖った鋼鉄の塊は、兵士を食いちぎったトカゲの土手っ腹を捉え、その巨体を吹っ飛ばした。
建造物を破壊してようやく止まる巨大トカゲ。
立ち上る粉塵。
残った兵士達は銃口を粉塵に向けて祈るだけだった。
終わってくれ、と。
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