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恐る恐る顔を上げた彼等が見たもの、それは巨大で無骨な野太い鋼鉄の腕だった。
そのハードパンチャーは、奇声を発する巨大トカゲの腹を、丸太のように太く、けれど角張った無限軌道の大きな脚で踏みつけた。
鋼鉄の塊、その重量がのしかかり、腹を潰された巨大トカゲは捕食した真っ赤な、布と肉とが絡まったペースト状の中味を吐き出して痙攣した。
直後、もはや死に体の巨大トカゲの大きく開いた口に戦車砲を思わす巨大な銃身が突っ込む。
低く腹の底に響く火薬の炸裂音。
周囲に散乱する肉片と血液。
頭を潰された化け物は絶命し、痙攣した。
「……残念ながら間に合ったみたいね」
巨大トカゲをあっさりノしたハードパンチャーが言った。
子供の声だ。
その声で戦車兵達は我に返った。
「で、木偶人形が今更……!」
「あら。こっちは急いできたのに冷たい反応ね……合流予定時間は十五分後のはずだけど?」
戦車兵は憎々しげに「木偶人形」を睨みはしたが、何も言えずに歯を噛んだ。
逆光で影にしか見えないその巨体は実に威圧的に見えた。
「まぁ……そうね。言いたいことがあるのはお互い様ってトコ。でも……」
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