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木偶人形の搭乗兵は何の感情も込めずに続けた。
「まさかあれだけ大見得切っておいて、包囲した対象を見失う間抜けをやるとは思わなかった……銃声がしたんで駆けつけたらこのザマじゃ、ね。まだ面子が残ってるつもり? さすがにカッコ悪いよ?」
あからさまに見下した態度のその声に、兵士達はさっきまで巨大トカゲに向けていたはずの憎悪の矛先を巨人兵へと変える。
だが、反論の余地無く歯噛みするしかなかった。
「クッ……今はそんな事はいい! 対象はもう一匹……」
士官クラスらしい兵士が言い掛けたとき、遠くで二、三度重い砲声が聞こえた。
巨人兵は小さく溜め息をつく。
呆れたような、それとも単に面倒くさくなったような、そんな溜め息だった。
「終わったわね。お疲れさま」
相変わらず、その子供の声には何の感情も込められていなかった。
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