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「そういえばだけど」
「うん?」
それから2人は、カウンターの従業員に果物のジュースを頼み、喉を潤して雑談に花を咲かせていた。
その最中、メイが話題を転換して問い掛ける。
「これからどうしようか?
シルバニアで暫く暮らすにしても、何か仕事見付けなきゃだよね?
それとも、先ずは移住について考えてみる?」
「うん、その事なんだけど」
今後の展望は不鮮明だ。
それに、移住に関しても決断し切れていない。
それでも、アリッシュにはしたい事があった。
「僕、冒険者になりたいんだ」
「冒険者……?
それって、お父さんみたいな?」
「そう。
だから、メイに僕のパートナーになって欲しいんだ。
駄目かな?」
先程まで、自分の願望を口にする事を躊躇っていた。
けれど、そんな必要なんかない。
自分の気持ちを隠すような関係じゃなかったんだ。
「冒険者……」
メイは暫し逡巡するも、楽し気に表情を咲かせた。
「うん、面白そう!
やろうよアリッシュ!」
思いは伝えるべきだと、少女の笑顔を前に感じずにはいられない。
アリッシュもまた、メイの笑みにほだされるように、表情を和らげるのだった。
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