第4都市

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「………酷い」 あまりにも……酷い。 鬱蒼とした森を抜けて、荒れた土地を3時間歩いて、闇夜はようやく第4都市に着いた。しかし、その有様は目も当てられないほど悲惨なものであった。 都市には生命の気配さえなく、ぼろくなった灰色のビル群だけが不気味に佇んでいる。大地には細い草さえなく、砂漠のようだ。あちらこちらに赤が飛び散り、焦げ跡なども多く見受けられた。そして…老若男女を問わず、大量の亡骸が無造作に倒れていた。体の一部がない者、全身に銃弾を受けた者、矢が刺さったままの者、子供を守るように抱え込んだまま死んだ者……… 赤、赤、赤、赤、赤――― 「…これが……戦争…」 俺は、まだまだ考えが未熟だった。俺の住んでいた地域なんて、まだ被害を受けていない方だ。真の現状を知り、うっすらと吐き気さえ覚えた。 ゆっくりと都市の中を歩く。建物の中にも人はおらず、薄暗い静けさだけがあった。闇夜が都市の中枢部に入った時―― ザザッ 「………っ!?」 気付いた時には、遅かった。 どこに隠れていたのか、何者かが闇夜の背後から襲いかかってきた。相手の腕が闇夜の首を締めながら首もとに短剣を突き付ける。暗黒剣を抜こうとするが勘づかれて鞘ごと投げ捨てられた。ギリギリ届かない距離…… 「動くな!!」 (…こいつ…女…!?) .
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