あれから10年

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「あー、なら納得。ペナントレースも始まったしね。鈴木テル選手出てた?」  誠也も興味があり、軽く聞いてみた。拓斗は"うん"と一言言い、カバンの中身を机に詰め込む。そして普段読んでいる小説を読み始めた。  そして数分後、担任が来て、軽くホームルームが始まるのだ。 「はい、皆おはよー。全員いるねー?」  この人は、担任の伊藤佳奈(イトウカナ)先生。容姿が幼く、制服を着ていたら、誰が先生だか解らないだろう。 「センセー、亮介が五十嵐センセーと鬼ごっこしてて、いませーん。」  誠也がバカバカしく言うとクラスメートが一斉に笑い、クラスが笑いに包まれる。誠也はクラスの人気者だ。 「あら、またなの? 毎度毎度しょうがないわね。」  担任が呆れて肩を落とす。無理もない、通算100回を超えている為であり多少怒る気にもなれないらしい。 「もう戻って来るかと思うんだけどな~。」  拓斗が軽く心配すると廊下からドタドタと足音が聞こえる。そして勢い良くドアが開いた。 「ハァ……ハァ……まじ五十嵐ジョーク通じないのかよ……。ん? もしかして俺セーフ?」 「お疲れ様、遅刻の常連さん。残念ながらアウトよ。」 「あいたっ。」 先生が名簿表で亮介の頭を"ペシッ"と叩く。すると再びクラスメートが笑いだし、亮介の顔が赤くなった。 「さて……全員揃ったと言うわけだし、体育館に向かうわよ?」 「「は~い。」」  皆体育館に向かう。今日は拓斗達にとって3度目の始業式だ!
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