夏の大会に向けて

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 監督からの話しも終わり、活動開始となった。皆、グラウンドに散らばり各メニューに取り掛かる。  一年生は、基礎練習。まずは走り込みだ。投手以外は守備練習をメインとした基本セット。投手は、投げ込みを中心にするようだ。 「ねぇ拓斗ー。」 「なにー?」  拓斗と未来は、端の小さなマウンドに向かい投げ込みの準備をしている。奥には投げ込み用のネットを配置して二人の側にはバケツいっぱいのボールが置いてあった。  二人は投手なので、投げ込みをするのだ。 「一年生でさ……戦力になる子いそう?」  未来は即戦力になりそうな子が居るか気になるようだ。色々個性のあるメンバーだったが、印象深いのは……。 「そうだね、強いて言うなら赤髪の初川って奴かな? リトルでやってたって言うし。」  拓斗が言うと私も同じ! と話を合わせてきた。まずは肩慣らしで投げ込んでいるのでゆったりした雰囲気。 「拓斗も同じか……後で話しかけて見ようかな?」 「そうだね。色々聞いて見よっか。」 †††††††††††††† 一方、亮介と誠也達 「それじゃ今からノックする! まず一年生の実力が知りたいから一年生からするぞ! 終わったら走り込みな!」 「はい!」  監督が一年生全員を集めた。一年生達が一塁側に並んで順番を待つ。  1年生はまだユニフォームをもらってないので、各自持参の運動着か指定の学校ジャージを身に纏っている。 「じゃあお前からいくぞ! それっ。」 "キィーン!"と金属音が響く。監督のノックは回りの野球部からも一目置かれているのだ。 「わぁ!」 「コラー! 怖がってどうする! お前は走って来い! 次~!」 "カァーン" 「あっ……。」  勇気をだして飛び出したが、ポロッ…とグローブからボールがこぼれ落ちた。 「腰が高い! もっと低くだ! お前も走って来い!」  ノックを受けた一年生は、かなり凹んだ表情でグラウンドを走りはじめる。 「お~監督も精が出るね~。」 「俺は今でもエラーして怒られるけどな。」  誠也と亮介は喋りながら素振りをする準備をする。因みに、一年生以外は外野で素振り中である。 「次!」  次は拓斗達が注目している……初川だ。  一人ウインドブレイカーを着て馴らした感じのグローブ装着。 「は…はい! お願いします。」
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