夏の大会に向けて

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 あかつきスターソルジャーズとは……リトルリーグ全国大会の常連チームであり、昨年はベスト8の成績を納めていた。この地域で1番強いリトルリーグだ。 「お前……スターソルジャーズだったのか!」  なるほど……だからあの守備センスか。俺は腕を組みながら納得した。 「僕が凄いんじゃないんです。皆が凄かったから……全国に行けただけです。」 「でも凄いじゃない! 全国なんて一握りだよ! でも……君ほどの選手が何故この中学に?」  たいしたことないと言うが、未来に褒められると嬉しいのか顔が赤くなる。そして……それと同時に初川は少し暗い表情になる。 「僕ん家……去年両親を亡くして、お金が無くて……私立にはお金が……なので。」 「そっか……ゴメンね? 変なこと聞いて。」  しんみりと重い空気になってしまった。だが重い空気の中拓斗が初川に言う。 「初川、シニアも中学野球も変わり無いよ。俺はボールの違いだけだと思うな。」 「そうだよ! シニアじゃないなら中学野球で有名になればいいじゃない!」  二人は初川を励ます。すると暗かった表情がさっきまでの表情に戻った。 「……はい! 僕先輩達に負けないようにがんばります! なので……これからもお願いします!」  元気を取り戻し笑顔を見せる。やっぱり野球をしている時は笑顔だなと俺は思った。 「よーし練習再開するぞ~。」  こうして夏の大会に向けて皆頑張るのだ。
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