第二十二章

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「ユウヤ兄ちゃん、いつ帰って来たの?」 コーヒーを飲み終えたカエデは、 台所で二杯目のコーヒーを入れてくれているユウヤに向かいきいた。 「昨日あの後、 少ししてから帰ってきたよ。 あぁ、そうだ。 おばさんには俺の家に泊まるって電話しといたから心配しないで。」 「そうなの。ありがとう。 ユウヤ兄ちゃん。」 カエデはカーテンの隙間から差し込む明るい日差しを見て、 今が日中帯であることを再認識した。 時計を見ると、午前十一時を少し過ぎた頃だった。 「私、こんなに寝てたんだ……。」 カエデは時計を見ながら呟くようにそう言った。 「疲れてたんだよ。 無理もないさ。 あんな経験をしたんだから。」 「うん。そうだね。」 カエデは俯きながらそう答えた。 それにしても、 本当にユウヤ兄ちゃんは、 あの後、本当に私の少し後に帰ってきたんだろうか? カエデは思い出したくもない昨日の出来事だったが、 あの後、パチンコ店を出た後の事を思い出そうとした。
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