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開いたその先に、医者がいるものと思っていたけれど、見回しても姿はない。
「勝手に邪魔して悪いけど……こっちも急ぎでね」
改めて視線を巡らせて、見知った顔を探す。
苦痛に歪む表情は、顔立ちの判別が難しい。
だが、
──っっ!!
……いた。
びっしりと肌を覆う黒い痣に驚きはあるが、何とか刀次の子分を見つける。
それにしても。
黒々と、悪意の塊の如くに身体中にへばり着く痣は、見ているだけで、息苦しさを感じさせられる。
こいつは本当に鬼の仕業かも、しれないねぇ。
となれば、益々もって、これ以上ゆのかを関わらせられない。
早々に終わらせるべく、静かに意識を整える。
そのまま、布団の横に座し、
「頼んだよ、憑世見」
声を掛けた。
隣では、訳が分からないままに、ゆのかが固唾を飲んで見守っている。あたしが何かしようというのは、感じ取っているんだろう。
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