十.動き出す悪意

14/27
前へ
/179ページ
次へ
「はい、落ち神様」 ゆのかが、はにかみながら頷く。姿が見えない相手を簡単に信用する姿は不安しか覚えないけど、まあそれは今は置いておこう。 ──これからが本番、だからね。 先程、憑世見を通じて視たもの。あの女について、詳しく知る必要があるだろう。 その為には……刀次に会わなきゃならない。 正直、今は顔を合わせたい気分じゃない。 勝手な行動を咎められる事以上に、気持ちが揺らいでいる事の方が、理由としては大きい。 普段は押し込めたこの気持ちが、飛び出しやしないか……それが心配だよ。 それでも、そうも言ってられないのは、分かってる。 あの女は、刀次を連れて行くつもりだろうから。
/179ページ

最初のコメントを投稿しよう!

70人が本棚に入れています
本棚に追加