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そう判じて、まずは男の出方を伺う。
こんな時、自分の落ち神が戦いに向かないのは歯痒い。まあ、それ以上の恩恵に預かっちゃいるから、文句は言えないけど。
「そんなに恐い顔してちゃあ、別嬪が台無しだぁ」
睨み付けるこちらを嘲笑いながら、男が一歩踏み出す。
「はっ!あんたみたいなのに別嬪なんざ言われて、嬉しいもんかい!」
男の歩みに合わせて、少し足を退く。
──診療所に逃げ込むべきか、否か。
いや、多分こいつは、お構い無しだろう。
狙いは、あたしなんだ。関係ない医者は巻き込めない。
背のゆのかが、かたかたと震える気配が伝わる。どうにか、この子だけでも。
目の端をそちらに向けた刹那、男がぐっと踏み込み、懐手を抜いた。
その手には、鈍く光る小刀。
手入れも杜撰そうで、大した得物じゃあないが、やっぱり丸腰じゃなかったみたいだね。
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