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ベッドのふちに陽兄ちゃんが座っていた。
「お…兄…ちゃん…」
『Σ! 紅弥?』
陽兄ちゃんが慌ててわたしの顔を覗きこむ。
『大丈夫か?』
そう言った陽兄ちゃんの口に、月光によって光る2つのものがあった。
それは… まるで牙のよう。
「兄ちゃん。それ…」
言いかけてわたしはハッとした。
兄ちゃんの背中に黒い大きなものがあるのに気づいたから。
わたしは驚きと微かに浮かぶ恐怖に目を見開いた。
「兄ちゃん… どうしたの?!…」
やっとのことで出た声も少し震えている。
だって…
2本の牙と
漆黒の羽を背中にもった
陽兄ちゃんのその姿は
まるで…
ではなくもう
バンパイア
吸血鬼だったから。
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