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「おぉ痛ぇ」
夜のサーカスに獣たちの声が響く。
「あの野郎、今日は20回もムチで俺様を打ちやがった」
「鞭くらい良いじゃないか。僕なんかたてがみが危うく燃えてなくなるところだったぜ」
柵越しに話されるのは不平や不満ばかり。
不穏な空気の支配する闇の中で低く止むことを知らない汚い呻き声の数々。
「モリアは良いよな。なんたって、サーカス1の稼ぎ頭だもんなぁ?」
「俺も次に生まれる時は、とーっても器用なクマ様になってみてぇもんだ。」
野獣たちの野粗な暴言は、もはや日常茶飯事である。
モリアは、黒い体を小さく丸め、柵の隅で悪口に耐えていた。
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