389人が本棚に入れています
本棚に追加
好きなところ。
いつだったか聞かれて、まず初めに思いついたのは指。
長くて。
節が目立たなくて、細いんだ。
男のクセにって可笑しかったけど、最近はちょっと考え方が変わった。
「ちょっと…?」
「ん~?」
人差し指長いなぁ。
中指も。
「あのさ、ちょっとの間でいいから離してくれませんか?」
「………」
顎を乗せたテーブルの上には、開いたパソコンと雑誌と新聞とノートと…。
とにかく色んなもんが拡げられてる。
「ねえ」
「そのさ、紙とか捲ったりすんじゃん?」
え、の形で口が開いたまんま俺を見下ろす。
かっこいいのに、なんか残念。
「そのぺらぺらすんのがさ」
「え~…と、あなた眠いの?」
ふ、と笑顔になって。
俺の手に掴まれたままの指と反対の手が俺の頭に乗っかった。
「眠くねーけど?」
「そう?」
昨日ちょっと無理させた、なんて少しは反省してんのか?
「ニュースん時、指かっこいい」
「え!? ニュース?」
わかんねーかな。
誉めてんだけど。
「俺やっぱ、好き(手が)」
「ありがとう」
照れてれの顔のクセに、礼を言う顔は真面目で、謙虚で、優しくて。
「自慢」
「そう?……ええ!?」
キスをひとつ。
その手の甲に軽く唇を押しあてた。
.
最初のコメントを投稿しよう!