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「お返しってなに!?」
あーあ、真っ赤になっちゃって。
「頬っぺたムニムニすんなよ~。 曲がり角のお肌はデリケートなんだぞ」
「あなたそれ、お肌の曲がり角だよね」
ひとしきり笑ったあと、立ち上がった俺についてあいつも腰を上げる。
「なに?」
「送りますよ」
いつものセリフ。
なんとなく。
「いらねーし」
「いやいやいや、一人だと危ないから」
「何がだよ」
「だから、夜道は危険が…あてっ」
「バーカ」
ペシッと額を叩いてやれば、大げさに顔を歪める。
なんとなく。
こいつ、探ろうとしてんだなって。
俺ん家。
教えても構わねーけど、まあ、もうちょっと放っとこうかな(面白いから)。
「んじゃね」
「ええ!? ホントに一人で帰るの?」
「当たり前」
シュンとした顔。
これが仕事とか、アレん時物凄く男前なのがツボ。
ギャップ萌え?
「気をつけてね」
「ん~」
さいならのキス。
三十手前の男がやることじゃねーな、と思いつつ…。
これが俺達のキス。
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