キスについて 1

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「お返しってなに!?」 あーあ、真っ赤になっちゃって。 「頬っぺたムニムニすんなよ~。 曲がり角のお肌はデリケートなんだぞ」 「あなたそれ、お肌の曲がり角だよね」 ひとしきり笑ったあと、立ち上がった俺についてあいつも腰を上げる。 「なに?」 「送りますよ」 いつものセリフ。 なんとなく。 「いらねーし」 「いやいやいや、一人だと危ないから」 「何がだよ」 「だから、夜道は危険が…あてっ」 「バーカ」 ペシッと額を叩いてやれば、大げさに顔を歪める。 なんとなく。 こいつ、探ろうとしてんだなって。 俺ん家。 教えても構わねーけど、まあ、もうちょっと放っとこうかな(面白いから)。 「んじゃね」 「ええ!? ホントに一人で帰るの?」 「当たり前」 シュンとした顔。 これが仕事とか、アレん時物凄く男前なのがツボ。 ギャップ萌え? 「気をつけてね」 「ん~」 さいならのキス。 三十手前の男がやることじゃねーな、と思いつつ…。 これが俺達のキス。 .
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