唐変木

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固まった身体を無理矢理動かして男が振り返るとアリスは名に食わん顔で紅茶を飲んでいる。 そしてティーカップを机に置くと、やはり名に食わん顔で驚いている男を見た。 「今の状況が後ろめたいなら、週末に人形劇をやりに人里に行くから付き合ってくれない?」 男が首を横に振る訳がなく、勢いよく首を縦に振る。 そして他の部屋を掃除しに行くと言って、逃げるようにそこから逃げ出した。 「…………」 アリスは紅茶を一口飲む。 何故かその紅茶は余り味がしなかった。 アリスの寝室。 この家に来た当初は男は決して入れて貰えなかったのだが、今は断りなく入ることができるそこを、男は人形だらけのベット脇を人形を退かしながら掃除している。 男は先程のアリスの言葉を思い出し、自らのポロっと出て来た言葉を反省していた。 居候させてもらってるだけでもありがたいのに、気を使って心にもないことを言って励ましてくれた……反省反省、と男は反省を表すように必死に掃除している。 そんな男の姿を、赤いリボンを付けた人形が見つめていた。 「…………唐変木」 アリスは机の上の人形に向けて、小さく、そして寂しそうに呟いた。
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