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「はぁ……………」
深いため息。するべきことも、したいこともない。ただ今の時間を無駄に消費している。
誰もが不快な顔をする程の石油臭さにも鼻は馴れてしまった。眠り過ぎて眠い。だけど寝たらまた持ち物を取られ殴られ惨めな気持ちになる。
座ってるだけじゃいつか寝ちまうよ…。
落ちている石を摘んで、目の高さから落とす。
タチタチ…。
ふらふらしながらも落とした地点から、十数㎝くらい、右手側に自分から遠ざかるように動いた。
それを確認すると立ち上がって、小石をまたぎ、小石の動いた方へと歩いた。
少し湿り気のある地面。
昼でも照明をつけなければならない程暗い地下の世界から出て、外の世界に入る。曇った空なのに目を刺激する。地面にはところどころ水溜まりが残っていた。
いっそのこと空に昇っちまおうか…。でも昇れそうにもないなぁ……。
見上げる空には、ビル群が突き刺さっている。
「ふぅ……」
近くの公園のベンチに座る。
設置された遊具で遊ぶ子供はいない。砂場に何人かいる程度だ。
俺にもあんな時代があったんだなぁ…。
あの頃には…自分が今こんな生活をしていることは想像できなかったろう…。
子供が一人近寄ってきた。
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